~ボランティア活動からの報告~(吉玉孝士さんJPPaC会員)

吉玉さんが感じられたこと:ME/CFSは医療者と社会での認知と理解が不可欠で、治療法の開発と難病指定など社会的なサポートが課題と感じました。
この報告から私たちに出来る事を考えましょう。
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聴講レポート
記録文責 吉玉孝士
「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)を理解するための集い」
2015年10月25日(日) 14時~16時 東久留米 成美教育文化会館
JPPac参加者  畑中、橋本、河本、吉玉

今回、大屋さんの紹介で、ボランティアのお誘いがあり参加させて頂きました。
会場の成美東久留米教育文化会館は、4-5階のビルの中心のロビーに大きな吹き抜けがあり、会場設備もしっかりしており、駅からもそれほど遠くない場所にありました。
13時準備開始の集合時間でしたが、13時頃私が到着した時にはほぼ準備は終了しており、患者会の皆様が手分けしてスムーズな準備をされておりました。最初、患者会という事もあり、運営の方々も活動が出来ない方が多いと思っていましたが、実際には患者家族の方が中心で、当日もテキパキと動かれておりました。この様なイベントを実施しても患者様自身が参加するのは難しい実情があるとの事でした。
会の開始前に、篠原理事長にご挨拶させて頂きましたが、車いすで横になられている状態ながら、非常に積極的に周りに指示をしながら会場設営に関わっており、むしろアクティブな印象を受けました。この時点で、すでに私がこの疾患に対して、この会場に来る前に認識不足があったと感じました。講演の中でも書いていますが、MEの患者様は、意欲があっても疲労等諸症状によって活動が制限されているだけで、体力さえ回復すれば積極的に活動できる方が多いという事を感じました。ただし、篠原理事長も実際には、講演の中で、イベント後には数日間殆ど動けないほど疲労が残る事があるそうで、やはり活動量も活動時間も制限があることをお話しされています。

14時に副理事長の岩井さんの司会進行から始まりました。岩井さんもご親戚に患者様がいて、食べることができずに点滴だけで栄養を取っている状況がある等、厳しい現状をお話しされておりました。その後篠原理事長の挨拶で、東久留米市から補助金を頂いている事、市議会で取り上げて頂いたこと、当市にも3人の重症患者がいる旨をお話がございました。
次に、来賓の並木東久留米市長から挨拶がございました。先程話の上がった補助金制度は久留米市独自で実施している事をお話しており、この様な会を行うことで疾患に対する理解が広がって行くことが大切であることを強調されていました。
私見ですが、配布資料にもあるように、この疾患の大きな課題は、器質的疾患としての側面である筋痛性脳脊髄炎(ME)との疾患特性が、海外を中心に理解が進んでいるにも関わらず、日本では医療者、一般を含めて理解が進んでいない。その為に補助金の問題、社会福祉の問題、疾患に対する研究の遅延など問題がある事を感じました。
2人目の来賓の挨拶は石橋東久留米医師会長からでした。医師会長自身も、慢性疲労症候群(CFS)としての疾患理解は昔からあったが、MEとしての理解は最近までしていなかったと話されており、日本に於いての医療者の理解不足は課題であると話されていました。医師会としても難病指定に入っていない現状も鑑みて、活動をしっかりサポートしていきたいとお話され、在宅医療の必要性からも今後、東久留米市が誇る在宅を活用し、地域包括ケアの中で取り上げていきたいとの事でした。また、医師としても原因究明、治療法の開発が大事と考えており、まずは診断が出来ない事によるたらいまわしは避けていくように努力していきたいと話を纏められていらっしゃいました。

最初に篠原理事長より、ME/CFSの実態調査についての講演がございました。篠原理事長自身の病歴とこれまでの活動の歴史をお話しされ、この患者会が発展するまでの苦労を語られておりました。(日本に、この病態の医学情報も少なかったことから自身で海外のガイドラインなど翻訳もされた事等)
まず、この疾患に関して、歴史と疫学、病態について詳しく解説頂きました。詳しくは省略しますが、この病気の大きな報告は1930年のカルフォルニアでの集団発生(当時は非定型ポリオと呼ばれていた)から始まり、度々集団発生を繰り返している。1955年のロンドンでの集団発生後、56年に医学誌ランセットに筋痛性脳脊髄炎という病名が提案されましたが、1984年にカルフォルニアで集団発生した後、アメリカで慢性疲労症候群という病名が提案され、その病名が日本に入ってきてしまいました。通常ウィルス感染に発症すると考えられており、近年でも原因も良く分かっていませんが、慢性疲労が蓄積すると慢性疲労症候群(CFS)を発症するわけではありません。最近では研究も進み、中枢神経での炎症が存在している事などの状況が少しずつ解明されつつあるとの事。
次に実態調査に関して、お話し頂きました。これまでこの病気は通院が出来ていない患者が多く、しかも通院出来ている時はPSも良い状態なので、重症度が低く見らてしまう傾向があるとの事。今回の調査では、家から出られず通院もできない患者にもアンケートして実態を調査した。結果、PS(日常生活の活動指標、数字が大きい程、活動が制限)が8~9の重症患者が実に約30%いたとの事。実際には、さらに重症で調査に参加できなかった方がいることを把握しており、もっと重症患者は多いだろうとの事。この疾患では、通院した後に心身の衰弱の為、軽症の方でも寝たきりになってしまうことがあるとの事。
症状としては、疲労、睡眠障害、疼痛など幅広く、残念ながら見た目で分かりにくく周囲の理解を得ることが難しい。この疾患では当然就労や家事が困難。その事からも社会福祉サービスが必要であるが、身障者手帳の取得率は重症の方でも65%、全体で14%と低い。最近、年金の支払者側には理解が少し進み、取得出来ている患者も増えてきた。
この疾患で最も解決してほしい事は、病気の研究を進めてほしい事。治療方法の確立や認知度のアップを目指して、患者会では国会での請願も実施し、衆参両議院で採択されたとの事。
篠原理事長の講演の後に、日本神経内科学会の患者ブースで使用したVTRを上映。このVTRでは疾患の現状をドキュメンタリーとして纏めており、実際の患者さまのインタビューも含めて実態を紹介している。専門医が極端に不足していること、そして最近分かってきた病態解明に向けた研究を紹介しており、医師への啓蒙と研究促進の思いが込められていたVTRでした。

休憩を挟んで清風荘病院の天野恵子先生より和温療法に関して講演頂いた。まず初めに天野先生がこの疾患に関わり始めた経緯についてお話しをされました。先生がこの病気を知ったのは、実はそれほど昔ではなく、千葉で女性外来を始められた時に、21歳の専門学校生で慢性疲労症候群の患者を診られたのがきっかけ。この患者は既往として高校1年生の時に微熱とリンパ節の腫脹を経験しておりその後、疲労が続き、先生の外来に来られた。漢方を中心とした治療で一時症状は良くなっていましたがその後悪化し寝込む様になったとの事。この患者との出会いで疾患の治療法を考えるようになった。その頃、元々循環器であった天野先生は鹿児島大学の循環器のDRで重症心不全の和温療法(先進医療として確立している、この開発のエピソードも面白かったですが割愛します)を開発された鄭忠和先生の事を知り、更年期障害が体を温める事で回復する事をヒントにME/CFSに和温療法が効果あるかもしれないとの事から、先程の患者を紹介して、治療を受けたところ非常に効果的だったという経験をされ、和温療法に取り組み始めたとの事。その後千葉の病院を定年退職し、新座市の清風荘病院の理解を頂き、この施設で和温療法を始めた。
和温療法について詳細は割愛させていただくが、自由診療として実施しており、一日二回約60度の低湿度のサウナに15分入って、その後も体を温めるために30分間毛布にくるまる。効用は血管の拡張と、深部体温の上昇によって全身の血管機能、生体防御機能が高められると考えられています。
様々なデータを客観的にとらえるために先生はSF36という患者の健康概念を数値化する指標によって、ME/CFS患者の病状と治療効果を評価しておられました。
この疾患では、特徴として日常生活機能等が低いがメンタルヘルスの部分は高い例が多く、いわゆる鬱や不安症とは大きく違っている事を強調されていました。意識として何とか活動したいとの強い気持ちがありながら、体が動かない状況との事。和温療法を行うことによって活動面の回復が図られる。傾向として罹病期間が短いほうがより効果的との事だが、罹病期間が長い例でも有効である。実際に罹病期間の長い例として、篠原理事長も和温療法を受けるようになって、今日の様なイベントでも疲労の度合いが小さくなり、睡眠障害、胃腸障害、手の機能などの改善が得られたとの事でした。他の患者の実体験(気温の高い南国での生活は病状を良くする)事も踏まえて、この疾患では体を温める事が重要と考えている。
最後に私の感想ですが、この疾患は医療者と社会での認知と理解が不可欠で、治療法の開発と難病指定など社会的なサポートが課題と感じました。会終了後の篠原さんとの会話で、患者会をJPPacとしても多方面でサポートしていく方法を考えようという話になりました。

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