難病フォーラム参加レポート

『難病支援に対する「狭間」「境界」の存在が浮き彫りになった。』橋本さんからのレポートです。

難病・慢性疾患全国フォーラム2015
共生社会の実現を目指して-難病法の成立と課題-

平成27年11月7日 浅草橋ヒューリックホール  (以下敬称略)
JPPaCからの参加者 畑中、堀、小坂、安保、橋本
会場参加者400名、TV取材あり

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2013年「障害者総合支援法」、2014年「難病の患者に対する医療等に関する法律」および小児慢性特定疾病対策を義務化する「児童福祉法一部改正法」=小慢改正法の成立とそれでも残る課題について、4つのパネル企画において各患者会の方を中心に語られた。
なお、公費助成の対象となる難病患者は306疾病(2015年7月1日現在)150万人規模となった。

オープニングアクト ― ダンスパフォーマンス
〜ボティーパーカッション”体すべてが楽器です!” 会場の皆さんと繋がろう〜

出演:NPO 法人ドリームエナジープロジェクト
協力:NPO 法人ボディーパーカッション協会

✔知的・発達障害者とともに、将来オリンピックでは10万人規模のボディーパーカッションを
行うことを目標にしているそうである
✔会場で座りながらも結構な運動量、一体感が生まれることが体験できた

パネル企画① ―難病法の成立と新しい指定難病の患者・家族の声と期待―
「希少難病に光を」 日本コケイン症候群ネットワーク
「難病指定を受けて」 胆道閉鎖症の子どもを守る会
「指定難病となって・・・」 全国色素性乾皮症(XP)連絡会
「難病法が施行された現在(いま)、思うこと」 全国軟骨無形成症患者・家族の会
✔難病指定されるようになって、診断基準ができ疾病名が変わる
✔これまで身障者手帳がなければ就労支援対象になれなかったが、難病指定になってからはサービスを受けやすくなった
✔まだ現場の医師が病気のことを知らないケースがある
✔外見からは病気とわからないため、周りからの理解が得られない
✔病気特有の生活について理解が進んでいない(ex紫外線を避けなくてはならない生活など)
✔医療費以外での経済的な負担は、家族を含めて大きい
✔小児から成人になると、小慢法が受けられなく
✔症状の変化を追えるようにして調査研究を進めてもらいたい

パネル企画② ―難病の残された課題と新たな要望の声―
「キャッスルマン病患者の課題」 キャッスルマン病患者会
「難病法から取り残された疾患の課題~線維筋痛症について」NPO 法人線維筋痛症友の会
「パーキンソン病患者に残された課題と新たな要望について」一般社団法人全国パーキンソン病友の会
「リウマチ患者の現状」 公益社団法人日本リウマチ友の会

✔そもそも専門医がいない、大都市でも少ないため、確定診断が出るまでに数年かかる
✔患者数が希少でない(多過ぎる)と難病指定されない(希少でないが、難病はある)
✔難病指定されれば、医師への認知、職場や友人の理解が深まる
✔就労が出来なければ生計が立てられず、貧困に陥る(治療のために就労、稼ぐという実態)
✔新薬で寛解できるケースもあるが、薬剤費が高いために経済的負担は大きい
✔患者会が病気の実態を発信することで、社会資源としての役割を担える
パネル企画③ ―障害者総合支援法による福祉サービスと就労支援の課題―
「障害者手帳を持っていない難病患者の障害福祉サービスに対する課題(膠原病の立場から)」一般社団法人全国膠原病友の会
「難病患者の就労〜当事者から見る課題と今後の対策への期待〜」 多発軟骨炎(RP)患者会
「入院中も重度訪問ヘルパーの付添いを強く求めます」 一般社団法人日本 ALS 協会

✔難聴であることは外見からはわからない
✔職場の仲間に、症状をどのように説明するのが難しい
✔制度的にヘルパーが吸引などの医療的ケアができるようになっているが、研修やシステム等が周知されていないため、患者会が主体となって活動しているところもある
✔口文字、透明文字盤を読みとる介護者が必要(ALS) スキル習得には3ヶ月ほどかかる
✔ALS患者が入院した場合、ナースコールが使えないことや看護師が来てもコミュニケーションが取れないことがある(意思疎通ができないなら、いつか死んでしまうという恐怖感)
✔医療職と介護職の連携が必要
✔ALS患者の場合は、重度訪問ヘルパーが入院時でも使えるようにしてもらいたい(コミュニケーション困難者として、医療従事者に認識されない)
✔「難病患者は特別な存在」でなく、「難病患者が当たり前に働くことの出来る社会」を目ざして取り組む
パネル企画④ ―難病や慢性疾病のある子どもと家族からの発信―
「小児慢性特定疾病制度と移行期の課題」 一般社団法人全国心臓病の子どもを守る会
「病児教育の課題」全国病弱虚弱教育学校 PTA 連合会
「制度の谷間―切れ目ない施策の拡充を求めてー」 公益財団法人がんの子どもを守る会
「医療的ケアの壁をのりこえて」 SSPE 青空の会
✔心臓疾患は100人に一人の割合、治療方法が進み9割以上が成人となれるようになったが、先天性心疾患の多くは完治しない
✔小慢改正法により成人後は自己負担増となる(トランジット問題)
✔自立支援に関しては自治体によって対応が異なる。自治体の認知が必要
✔ 先天性心疾患では、成人した時に小児科から一般の循環器科へ受診は難しい(医師に知識がない)
→成人移行期の医療体制
✔小児の希少疾患の場合、専門医が少ないため、遠隔地通院などの交通費、宿泊費や他の兄弟姉妹がいる場合の面倒を見る家族の問題、収入の少ない若い親への経済的、精神的な負担も大きい
✔小児ガンは不治の病から平均で70%以上、急性リンパ性白血病は90%が治る病気となったが、治療は長く続き、晩期合併症も多い
✔子供たちが希望を持って成長発達するために

フォーラムを通じて私なりのまとめとしては、「狭間」、「境界」という言葉が抽出されたように思う
◆難病の認定
指定になった疾病と認定されなかった疾病がある
患者数が多すぎる疾病の場合、希少疾患にならない
臨床現場で疾病認知ができていない時、患者は難病難民になり重症化するケースもある
<指定難病> Wikiから引用
難病の定義である
1. 発病の機構が明らかでなく
2. 治療方法が確立していない
3. 希少な疾患であって
4. 長期の療養を必要とするもの
に加えて、
1. 患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと
2. 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること
が挙げられる。
◆教育、就労、精神的な問題、社会的自立
小児疾患の場合、医療の進歩で成人できるようになってきているが、社会制度がそれに連動
していないため、患者や家族へ負担を強いることがある
◆疾病に対する理解
希少疾患に対する臨床医への周知の必要性→専門医への連携
外見などからは難病患者と見られないケース、仲介者がいなければ成立できないコミュニケーション問題
医療費以外でも患者本人、家族に経済的、精神的な負担が大きい
◆国から地方自治体へ権限委譲により支援方法などについて地域格差、ばらつきが生じてきている

患者やその家族の立場を考える時、実態や情報の入手、発信源としての患者会の役割というものが社会資源のひとつとして重要であることを再認識しました。
その患者会の運営については、まだまだ患者本人や家族によるボランティアによって維持されている実態を知り、私たちはどのような形でサポートすることが出来るのか考えてみたいと思いました。

難病患者ら 社会参加への支援求める NHK NEWS WEB
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151107/k10010297951000.html

~ボランティア活動からの報告~(吉玉孝士さんJPPaC会員)

吉玉さんが感じられたこと:ME/CFSは医療者と社会での認知と理解が不可欠で、治療法の開発と難病指定など社会的なサポートが課題と感じました。
この報告から私たちに出来る事を考えましょう。
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聴講レポート
記録文責 吉玉孝士
「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)を理解するための集い」
2015年10月25日(日) 14時~16時 東久留米 成美教育文化会館
JPPac参加者  畑中、橋本、河本、吉玉

今回、大屋さんの紹介で、ボランティアのお誘いがあり参加させて頂きました。
会場の成美東久留米教育文化会館は、4-5階のビルの中心のロビーに大きな吹き抜けがあり、会場設備もしっかりしており、駅からもそれほど遠くない場所にありました。
13時準備開始の集合時間でしたが、13時頃私が到着した時にはほぼ準備は終了しており、患者会の皆様が手分けしてスムーズな準備をされておりました。最初、患者会という事もあり、運営の方々も活動が出来ない方が多いと思っていましたが、実際には患者家族の方が中心で、当日もテキパキと動かれておりました。この様なイベントを実施しても患者様自身が参加するのは難しい実情があるとの事でした。
会の開始前に、篠原理事長にご挨拶させて頂きましたが、車いすで横になられている状態ながら、非常に積極的に周りに指示をしながら会場設営に関わっており、むしろアクティブな印象を受けました。この時点で、すでに私がこの疾患に対して、この会場に来る前に認識不足があったと感じました。講演の中でも書いていますが、MEの患者様は、意欲があっても疲労等諸症状によって活動が制限されているだけで、体力さえ回復すれば積極的に活動できる方が多いという事を感じました。ただし、篠原理事長も実際には、講演の中で、イベント後には数日間殆ど動けないほど疲労が残る事があるそうで、やはり活動量も活動時間も制限があることをお話しされています。

14時に副理事長の岩井さんの司会進行から始まりました。岩井さんもご親戚に患者様がいて、食べることができずに点滴だけで栄養を取っている状況がある等、厳しい現状をお話しされておりました。その後篠原理事長の挨拶で、東久留米市から補助金を頂いている事、市議会で取り上げて頂いたこと、当市にも3人の重症患者がいる旨をお話がございました。
次に、来賓の並木東久留米市長から挨拶がございました。先程話の上がった補助金制度は久留米市独自で実施している事をお話しており、この様な会を行うことで疾患に対する理解が広がって行くことが大切であることを強調されていました。
私見ですが、配布資料にもあるように、この疾患の大きな課題は、器質的疾患としての側面である筋痛性脳脊髄炎(ME)との疾患特性が、海外を中心に理解が進んでいるにも関わらず、日本では医療者、一般を含めて理解が進んでいない。その為に補助金の問題、社会福祉の問題、疾患に対する研究の遅延など問題がある事を感じました。
2人目の来賓の挨拶は石橋東久留米医師会長からでした。医師会長自身も、慢性疲労症候群(CFS)としての疾患理解は昔からあったが、MEとしての理解は最近までしていなかったと話されており、日本に於いての医療者の理解不足は課題であると話されていました。医師会としても難病指定に入っていない現状も鑑みて、活動をしっかりサポートしていきたいとお話され、在宅医療の必要性からも今後、東久留米市が誇る在宅を活用し、地域包括ケアの中で取り上げていきたいとの事でした。また、医師としても原因究明、治療法の開発が大事と考えており、まずは診断が出来ない事によるたらいまわしは避けていくように努力していきたいと話を纏められていらっしゃいました。

最初に篠原理事長より、ME/CFSの実態調査についての講演がございました。篠原理事長自身の病歴とこれまでの活動の歴史をお話しされ、この患者会が発展するまでの苦労を語られておりました。(日本に、この病態の医学情報も少なかったことから自身で海外のガイドラインなど翻訳もされた事等)
まず、この疾患に関して、歴史と疫学、病態について詳しく解説頂きました。詳しくは省略しますが、この病気の大きな報告は1930年のカルフォルニアでの集団発生(当時は非定型ポリオと呼ばれていた)から始まり、度々集団発生を繰り返している。1955年のロンドンでの集団発生後、56年に医学誌ランセットに筋痛性脳脊髄炎という病名が提案されましたが、1984年にカルフォルニアで集団発生した後、アメリカで慢性疲労症候群という病名が提案され、その病名が日本に入ってきてしまいました。通常ウィルス感染に発症すると考えられており、近年でも原因も良く分かっていませんが、慢性疲労が蓄積すると慢性疲労症候群(CFS)を発症するわけではありません。最近では研究も進み、中枢神経での炎症が存在している事などの状況が少しずつ解明されつつあるとの事。
次に実態調査に関して、お話し頂きました。これまでこの病気は通院が出来ていない患者が多く、しかも通院出来ている時はPSも良い状態なので、重症度が低く見らてしまう傾向があるとの事。今回の調査では、家から出られず通院もできない患者にもアンケートして実態を調査した。結果、PS(日常生活の活動指標、数字が大きい程、活動が制限)が8~9の重症患者が実に約30%いたとの事。実際には、さらに重症で調査に参加できなかった方がいることを把握しており、もっと重症患者は多いだろうとの事。この疾患では、通院した後に心身の衰弱の為、軽症の方でも寝たきりになってしまうことがあるとの事。
症状としては、疲労、睡眠障害、疼痛など幅広く、残念ながら見た目で分かりにくく周囲の理解を得ることが難しい。この疾患では当然就労や家事が困難。その事からも社会福祉サービスが必要であるが、身障者手帳の取得率は重症の方でも65%、全体で14%と低い。最近、年金の支払者側には理解が少し進み、取得出来ている患者も増えてきた。
この疾患で最も解決してほしい事は、病気の研究を進めてほしい事。治療方法の確立や認知度のアップを目指して、患者会では国会での請願も実施し、衆参両議院で採択されたとの事。
篠原理事長の講演の後に、日本神経内科学会の患者ブースで使用したVTRを上映。このVTRでは疾患の現状をドキュメンタリーとして纏めており、実際の患者さまのインタビューも含めて実態を紹介している。専門医が極端に不足していること、そして最近分かってきた病態解明に向けた研究を紹介しており、医師への啓蒙と研究促進の思いが込められていたVTRでした。

休憩を挟んで清風荘病院の天野恵子先生より和温療法に関して講演頂いた。まず初めに天野先生がこの疾患に関わり始めた経緯についてお話しをされました。先生がこの病気を知ったのは、実はそれほど昔ではなく、千葉で女性外来を始められた時に、21歳の専門学校生で慢性疲労症候群の患者を診られたのがきっかけ。この患者は既往として高校1年生の時に微熱とリンパ節の腫脹を経験しておりその後、疲労が続き、先生の外来に来られた。漢方を中心とした治療で一時症状は良くなっていましたがその後悪化し寝込む様になったとの事。この患者との出会いで疾患の治療法を考えるようになった。その頃、元々循環器であった天野先生は鹿児島大学の循環器のDRで重症心不全の和温療法(先進医療として確立している、この開発のエピソードも面白かったですが割愛します)を開発された鄭忠和先生の事を知り、更年期障害が体を温める事で回復する事をヒントにME/CFSに和温療法が効果あるかもしれないとの事から、先程の患者を紹介して、治療を受けたところ非常に効果的だったという経験をされ、和温療法に取り組み始めたとの事。その後千葉の病院を定年退職し、新座市の清風荘病院の理解を頂き、この施設で和温療法を始めた。
和温療法について詳細は割愛させていただくが、自由診療として実施しており、一日二回約60度の低湿度のサウナに15分入って、その後も体を温めるために30分間毛布にくるまる。効用は血管の拡張と、深部体温の上昇によって全身の血管機能、生体防御機能が高められると考えられています。
様々なデータを客観的にとらえるために先生はSF36という患者の健康概念を数値化する指標によって、ME/CFS患者の病状と治療効果を評価しておられました。
この疾患では、特徴として日常生活機能等が低いがメンタルヘルスの部分は高い例が多く、いわゆる鬱や不安症とは大きく違っている事を強調されていました。意識として何とか活動したいとの強い気持ちがありながら、体が動かない状況との事。和温療法を行うことによって活動面の回復が図られる。傾向として罹病期間が短いほうがより効果的との事だが、罹病期間が長い例でも有効である。実際に罹病期間の長い例として、篠原理事長も和温療法を受けるようになって、今日の様なイベントでも疲労の度合いが小さくなり、睡眠障害、胃腸障害、手の機能などの改善が得られたとの事でした。他の患者の実体験(気温の高い南国での生活は病状を良くする)事も踏まえて、この疾患では体を温める事が重要と考えている。
最後に私の感想ですが、この疾患は医療者と社会での認知と理解が不可欠で、治療法の開発と難病指定など社会的なサポートが課題と感じました。会終了後の篠原さんとの会話で、患者会をJPPacとしても多方面でサポートしていく方法を考えようという話になりました。